『ウルフ・オブ・ウォールストリート』感想

長らく「いつか観よう」リストに入っていた『ウルフ・オブ・ウォールストリート』をやっと鑑賞した。なるほど、これは快作である。とにかくディカプリオが、全身全霊でとんでもない株屋の役を演じている。イカサマまがいの株取引で、あれよあれよという間に億万長者になってゆく主人公。そしてドラッグが大好き。ストリッパーがなだれ込むオフィス、私は見たことない。パーティーの余興として、百万ドルと引き換えに、みんなの前でバリカンで丸坊主にされる女性の姿も。まばらな坊主頭で、嬉しそうに金を掴む姿が何とも言えない。

出てくる人の8割が、どこかぶっとんでいる。クスリのせいもあるだろうし、湯水のごとく湧いてくる大金によって、常識がなくなっていく。持ち前の上昇志向で身につけた煽り文句を武器に、ディカプリオは客にも部下にも巧みな文句を叫び、煽る。その言葉は狂乱的な雰囲気を作り出し、客は大金を叩いて得体の知れない株を買う。数日までうだつのあがらない人生を送っていた部下たちは、興奮し、取り憑かれたように主人公の真似をして株取引を成立させていく。まるで怪しいセミナーのようだ。そして実際儲かるのだから、皆が正常さを失っていくのも仕方ないだろう。

文字で読めば、「なにそのやな感じの人たちのバカみたいな話」で終わりそうなのだが、スコセッシはうまい。半狂乱の日常を、説教臭くなくポップにしあげている。この明るさが見ていて清々しい。あと、時代設定が1970年代後半頃からなので、ファッションが古い。その、今から見たらダサく感じるその風貌も、この嫌な感じの話を見やすくしている一因だと考える。

株取引の詳細は知らないし、映画内での説明も細かいところまでは理解できなかった。しかし、これだけはわかった。素人が株に夢を託すと痛い目にあう。そんな資金もないのだが、私は株はやめておこう、と思った。

良心の呵責もなく稼ぎまくっても、きっと心は侘びしかったのでは。

ウォール街でばりばり働いて今でも稼ぎまくっている人びとは、これを観てどう思うだろうか。皮肉な笑みを浮かべながらも、「こいつはこいつ、俺は俺」と、また翌日も株取引に専念するのだろうか。富の集中が緩和されていくのは、遠い日であってほしくないのだが。ゲラゲラ笑いながらも、真面目にそんなことを考えさせられる作品だった。